氷の王子は花の微笑みに弱い 《 第一章 11


「あっ、あぁ……!」

 胸を見られるだけでも恥ずかしいと思っていたのに、そこを両手でまさぐられて高い声を上げている自分が信じられない。羞恥心はいったいどこへ行ってしまったのだろう。
 アリアが下を向いてキュッと下唇を噛むと、サディアスは心配そうに眉尻を下げて「どうした?」と尋ねた。

「わ、私……どうしてしまったのだろう、と……」
「なにか、おかしいのか?」
「だって、私……サディアス様に胸を……さわられて……気持ちいい」

 言ってしまったあとで、下を向いたまま自身の発言を頭のなかで反芻≪はんすう≫する。

(いやだ、私……! なにを言ってるの!?)

 胸をまさぐられているせいで頭がぼうっとしていたのかもしれない。どこかへ行っていた羞恥心がとたんに舞い戻ってきて、アリアの全身をカァッと火照らせる。

「気持ちいいのか、そうか……」

 小さな声で「嬉しい」と付け加え、サディアスはアリアの頬にちゅっとくちづけた。
 壮絶な羞恥で涙目になっていたアリアはきょとんとする。
 はしたない発言をしてしまったと思ったけれど、そうではなかったのだろうか。
 頬から口のほうへと彼の唇が移ろう。唇同士がぶつかるのと、胸のいただきを指で押し上げられるのは同時だった。

「んむっ!?」

 思いがけず頓狂な声が出る。唇を合わせたままなのでくぐもったうめき声になった。
 サディアスは親指でツン、ツンッと薄桃色をつついてひっきりなしにそこを刺激する。

「んん、んぅっ……!」

 唇は塞がっているので鼻でしか息ができないのだが、これほど近くに彼の顔があるのに鼻息を荒くしてよいのかとためらわれてうまく呼吸できない。
 アリアが息苦しそうにうめくと、サディアスは唇を離した。

「……平気?」

 大きく息を吸い込みながらうなずくと、安堵したようにサディアスの口もとが緩んだ。

「あぅ、う……っ、んん」

 二本の無骨な指が薄桃色の尖りを丹念にこねる。

「きみのここ……どんどん硬くなっていく」

 凝り固まった薄桃色のつぼみを指でなぶられると、脚の付け根に感じていた違和感がいよいよ顕著になった。

「んっ、あぁっ……サディアス、様……っ!」

 彼の指がめちゃくちゃに暴れまわる。走ったあとのように呼吸が荒くなってくる。

「アリア……ッ」

 名を呼ばれると、どうしてか下腹部の疼きが大きくなる。

「はぅ、うっ……あぁ……!!」

 アリアはめくるめく快感に戸惑い翻弄され、嬌声を上げ続けた。

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