青年侯爵は今日も義妹をかわいがる 《 第三章 03


「あ――っ。おにい、さまっ……!」

 タオルを持ったルイスの右手がシュミーズの内側に滑り込む。
 湿り気を帯びたタオルが、胸の谷間を伝い落ちる汗をすうっと拭う。

「ふっ……」

 おかしな声を伴った吐息が漏れ出てしまったので、カタリーナはあわてて両手で口を押さえた。しかしそうすることで、ふたつのふくらみが無防備になる。
 ルイスはカタリーナの腕に引っかかっていたネグリジェとシュミーズをさらに手首のほうへとずらして胸まわりを開け広げにした。
 折りたたまれていたタオルを両手で広げたあと、ルイスはそれをカタリーナの双乳に覆いかぶせた。

「……ん、っ!」

 タオルはもうすっかり冷たくなっていた。熱い体にはちょうどよいのだが、うしろから抱き込むようにしてタオルにかぶさったふくらみを揉みまわされるので落ち着いてはいられない。

「おにいさま、ゃっ……」

 ルイスは「んん」とうなりながらカタリーナの首すじに顔をうずめる。それはまるで「反抗の言葉は聞きたくない」と駄々をこねる子どものよう。
 彼の両手が激しさを増していく。薄いタオルはどんどん下へずれて、やがてお腹のあたりにポテッと妙な音を立てて落ちた。
 それでもルイスは両手を動かすのをやめない。汗を拭うという本来の目的を忘れて縦横無尽に暴れまわる。
 なんのために彼がこんなふうに胸を揉みくちゃにしてくるのかわからないのに、そこに不快感はなく気持ちいいなどと思ってしまう。

「ぁ、あっ……!」

 指のあいだに挟まれたていた胸飾りをコリコリ揺らされると、意思とは関係のない高い声が出る。

(わ、私――……)

 胸をまさぐられるのも、こんな声が出るのも、とてつもなく恥ずかしい。それなのに「やめて」と言えない。自分で自分がわからなくなる。
 ルイスはカタリーナの首すじにちゅうっと吸いついたあと、覚悟を決めるように大きく息をした。

「こうして……きみの体に触れるのははじめてじゃ、ない」

 胸を揉みまわす両手の動きが鈍くなる。

「きみが……寝入ってから……胸を、いじりまわしていた」
「……っ!!」

 一瞬、息が止まった。それほど驚いた。

(私が、寝ているあいだに……?)

 ――いまと同じことを、されていたの?
 手足の先や頬、目頭や耳まで、全身がもれなく熱い。体じゅうに鉄ごてを押し当てられているようだった。

「僕を、軽蔑する?」

 それは、いまにも泣き出しそうな弱々しい震え声。
 いつも悠然としている義兄から発せられたものだとは信じられない。
 瞬発的に早くなった脈が徐々に落ち着きを取り戻していく。

前 へ    目 次    次 へ