氷の王子は花の微笑みに弱い 《 第三章 07


「あっ……!」

 恥丘に指が当たると、そのすぐ下がドクンッと脈づいた。
 サディアスの指が秘裂をそっと撫で上げる。
 アリアは血相を変えてそこを手で押さえ、横向きになって背を丸めた。

「ゃっ……だめ、です……! そこ、は」

 ――だって、さっきからなんだかおかしいんだもの。
 独立した器官のようにトクトクとひとりでに脈づいているし、なにかよくわからないものがそこからあふれ出してきている。

「女性は、気持ちがいいとここが……湿るらしいな」
「――!」

 サディアスが秘所をのぞき込むので、アリアは絶句した。手で隠しているのは陰毛の部分だけだったから、これではそのほかの部分が丸見えだと、いまさら気がつく。
 サディアスはアリアの秘めた園を興味深そうに間近で眺める。

「この小さな突起を擦られると、とくに悦≪よ≫くなるそうだが……」

 莢を払い、その奥にある花芽をサディアスの人差し指がツンとつつく。

「ひぁあっ!」

 指の先で一突きされただけでも飛び上がってしまいそうになった。実際、両脚は不意を突かれたようにビクリと大仰に弾んだ。

「だ、だめです……ッ、サディアス様……!」

 口早に言って固く脚を閉じるものの、サディアスにはお尻側からのぞき込まれているのでそうしたところであまり意味がない。しかし、気が動転して『正しい隠し方』ができなかった。

「だめ? 不快か?」
「ふ、不快……というわけでは……ないのですが」
「……ないのですが?」

 サディアスはわざとらしくアリアの口真似をしてその先を言わせようとする。
 しかしアリアは答えられなかった。

「不快でないのなら、なぜだめだと言うのかその理由を知りたい」
「……っ」

 ――恥ずかしい。
 その一言に尽きるのだが、それを口にすることすら『恥ずかしい』。
 相変わらずアリアが黙り込んでいると、サディアスは困ったように目を細めた。

「理由が言えないのなら、続ける。だって……きみのここはこんなにも蜜を零している」

 蜜口に指が沈み込み、くちゅっと卑猥な水音が立った。

「ふっ……!?」

 はじめての感覚だった。そこに、雄を受け入れるなにかがあるのはわかっていたが、指を挿れたことなんてない。
 ただ、彼の言う通りそこが濡れているのはよくわかった。その事実がよけいに羞恥心を煽り、いよいよなにも言えなくなる。

「嫌なら、俺の手を払いのけるといい」
「う……」

 アリアは眉根を寄せる。

(そんなこと……できない)

 触れられて気持ちがいいのには違いないし、彼の手を払うというような不敬はしたくない。

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