青年侯爵は今日も義妹をかわいがる 《 第五章 09

 ナイトドレスは背中のリボンをほどいて肩からずらせばあとは足先までいっきに脱げてしまう作りになっていた。
 ルイスはそれを知ってか知らずか、簡単に脱がせられるものだからドレスを拭い去ってしまった。
 残ったのは、先ほど彼につけてもらった銀色のクマだけ。
 裸なのに、ネックレスだけをしているのが妙に恥ずかしくなってカタリーナは両腕で胸を隠す。

「見せて、カタリーナ」

 甘い声音で彼が命令してくる。

「わ、私だけ……見せるのですか」

 反論されるとは思っていなかったらしく、ルイスは「えっ」と驚きを顔に表した。

「それも、そうだね。……フェアじゃない」

 ルイスは自身のナイトガウンの腰紐をほどき、なかの寝衣をバサバサと脱いでいった。
 カタリーナは胸を隠したままどきどきしながらそのようすを眺める。

「これでいい?」
「……!」

 恥ずかしげもなく一糸まとわぬ姿になったルイスをカタリーナは直視できなかった。

「そ、そういうつもりで言ったわけでは……」

 ――ではどういうつもりだったのだ、と自分自身が責め立てる。
 彼の裸を見たいと思ったのは紛れもない事実なのだ。
 そして、その鍛え上げられた裸体を見て興奮を覚えている。脚の付け根のあたりが、先ほどからトクトクトクと連続して脈打っている。

「カタリーナ」

 呼びかけられたので顔を上げる。すると必然的に彼の裸体が目に入る。

「~~っ」

 カタリーナはゴロンと寝返りを打ってうつぶせになることで体を隠す。
 こんなふうにしてしまえば彼に胸を見られないし、自身も彼の裸体を見ずに済む。

「どうしたの」

 いっぽう、背を向けられたほうのルイスは不安げだ。

「そ、その……恥ずかしくて。だって……ついこのあいだまで『おにいさま』だったから」

 いままで何年も『兄』として慕ってきた。ベッドでは抱き合って、安心して眠っていた。
 それなのにいま、お互いに裸でベッドにいることが信じられなくて、恥ずかしい。
 正直なところいまだって、彼が兄だという感覚がまだ抜けきらない。そもそも、兄ではなくなるというのがどういうことなのかも具体的にはよくわからないのだ。

「そう……」

 ルイスは吐息交じりに相づちを打ち、カタリーナの背中を手のひらで軽く撫で上げた。

「僕、は……きみがどんな反応をするのか、知りたくてたまらなかった」

 ルイスはいままさしくカタリーナの反応を見ているらしく、彼女の尻に両手をあてがって撫でさすりはじめた。

「んっ!? ぅ、うぅっ……」

 お尻を隠そうと両手を伸ばしたものの、うまくできなかった。
 ルイスは、片手はカタリーナの尻に這わせたまま、もう片方の手をふくらみのほうへと向かわせる。

「あっ」

 無防備になっていた胸を、脇のほうからこちょこちょとくすぐられる。

「やっ、くすぐった……ぃ、あぁっ」

 身もだえしているうちにシーツと体のあいだに隙ができて、彼の手の侵入をまんまと許してしまう。

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