氷の王子は花の微笑みに弱い 《 第三章 05


(私ったら……サディアス様に全身を見られたいの?)

 そうだとしたら、なんてはしたないのだろう。

「アリア」

 名を呼ばれるたびに理性が揺らぐ。彼の望むまま、手をどけてもよいのではないかと思えてくる。
 アリアの両手から力が抜けたのをいいことに、サディアスはネグリジェとシュミーズを首の下まで一気にめくり上げた。

「……っ、ぁ」

 ふたつのふくらみが彼の目に留まる。
 見られていると思うだけで情欲の塊が湧き出てくるようだった。

(やっぱり、私――はしたないのだわ)

 愕然としながらも、体は着実に興奮を高めていく。胸飾りが尖りきってしまったのがその証拠だ。どうか気がつかないで、とアリアは願ったが、そうはいかない。

「ここ……勃ち上がったな」

 硬いつぼみを無遠慮にノックされる。

「んぅっ……!」

 押し殺したうめき声を上げてアリアは肩をすくめる。尖った箇所を隠したかったけれど、両腕を押さえつけるようにサディアスの腕が重なっている。これでは身動きが取れない。
 アリアの唇を食み、軽く啄んだあとサディアスはネグリジェとシュミーズを頭から抜けさせた。

「ひゃ、っ」

 身に着けているものがドロワーズだけになってしまい、なんとも心もとなかった。
 サディアスはアリアに恥ずかしがる暇≪いとま≫を与えない。先ほど吸ったのとは反対側の首筋をきつく吸い立てて赤い花びらを散らし、唇を肌に添わせたまま下降していった。ほんのりと赤く上気した肌にくちづけながら、ふくらみのいただきを目指す。

「あ、あぁっ……。サディアス様……ッ」

 彼の唇が薄桃色の部分に近づくと、ゾクゾクとした戦慄≪わなな≫きに襲われた。
 ――だって、もう知っているから。
 このあいださんざんそこを指でこねられたせいで、その薄桃色の尖りを刺激されるとどうしようもなく気持ちがよくなってしまうのだと、体はもう充分すぎるほど知っている。
 サディアスは身を硬くする棘にちゅっと触れるだけのキスをする。

「ふぁぅっ」

 おかしな声が出たことが恥ずかしくて、アリアは口を両手で覆った。その仕草になにを思ったのか、サディアスが息を漏らして笑うので、胸の先に熱い息が吹きかかって、また悶えることになる。

「う、うぅ……」

 アリアが身をくねらせると、サディアスは「たまらない」と言わんばかりに目を細め、眼前の小さな屹立を舌で舐め上げた。

「んんっ、う……!」

 口は両手で押さえたままなので、それほど大きな音にはならなかった。それでも、口からなまめかしい声が漏れ出てしまう。恥ずかしいと思うのに、制御できない。

「は、ぁ――……アリア」

 サディアスの右手が脇腹を這い上がってくる。ふくらみを揉み込まれ、その先端を二本の指でつままれた。

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